の力《ちから》が烈《はげ》しい程《ほど》拂曉《ふつげう》の霜《しも》が白《しろ》く、其《そ》れが白《しろ》い程《ほど》亂《みだ》れて飛《と》ぶ鴉《からす》の如《ごと》き簇雲《むらくも》を遠《とほ》い西山《せいざん》の頂巓《いたゞき》に伴《ともな》うて疾風《しつぷう》は驅《かけ》るのである。兩方《りやうはう》が疲憊《ひはい》して勢《いきほひ》を消耗《せうまう》する季節《きせつ》の變化《へんくわ》を見《み》るまでは其《そ》の爭《あらそ》ひは止《や》むことがない。
其《そ》の日《ひ》も埃《ほこり》が天《てん》を焦《こが》して立《た》つた。其《そ》の埃《ほこり》は黄褐色《くわうかつしよく》で霧《きり》の如《ごと》く地上《ちじやう》の凡《すべ》てを掩《おほ》ひ且《か》つ包《つゝ》んだ。雜木林《ざふきばやし》は一|齊《せい》に斜《なゝめ》に傾《かたぶ》かうとして梢《こずゑ》は彎曲《わんきよく》を描《ゑが》いた。樹木《じゆもく》は皆《みな》互《たがひ》に泣《な》いて囁《さゝや》きながら、幾《いく》らか日《ひ》の明《あか》るさをも妨《さまた》げて居《ゐ》る其《そ》の濃霧《のうむ》から遁《のが》れよう
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