、さうして僅《わづか》な障害物《しやうがいぶつ》であるべき梢《こずゑ》の凡《すべ》てを壓《お》しつけ壓《お》しつけ林《はやし》を越《こ》えて疾驅《しつく》して來《く》るのは今《いま》もう直《すぐ》である。竹《たけ》を伐《き》つて束《つか》ねたやうに寸隙《すんげき》もなく簇《むら》がつて居《ゐ》る其《そ》の爪先《つまさき》に蹴《け》られては怖《おび》えに怖《おび》えた草木《さうもく》は皆《みな》聲《こゑ》を放《はな》つて泣《な》くのである。さうしてもう泣《な》かねば成《な》らぬ時間《じかん》が迫《せま》つて居《ゐ》る。
勘次《かんじ》は霜《しも》白《しろ》い自分《じぶん》の庭《には》を往來《わうらい》へ出《で》ると無器用《ぶきよう》な櫟《くぬぎ》の林《はやし》が彼《かれ》の行《ゆ》くべき方《かた》に從《したが》つて道《みち》に沿《そ》うて連《つらな》つて居《ゐ》る。彼《か》の破《やぶ》れて、毎日《まいにち》打《う》ちつける疾風《しつぷう》の爲《た》めに傾《かた》むけられた笹《さゝ》の垣根《かきね》には、狹《せま》い往來《わうらい》を越《こ》えて櫟《くぬぎ》の落葉《おちば》が熊手《くまで
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