のど》が狹《せば》められたやうに感《かん》じた。それで自分《じぶん》にもどうすることも出來《でき》ないのに驚《おどろ》いた。勘次《かんじ》も吃驚《びつくり》して起《お》きた。
「どうしたんだよ大層《たえそ》惡《わり》いのか、朝《あさ》までしつかりしてろよ」と力《ちから》をつけて見《み》たが、自分《じぶん》でもどうしていゝのか解《わか》らないので只《たゞ》はら/\しながら夜《よ》を明《あか》した。勘次《かんじ》は只《たゞ》お品《しな》が心配《しんぱい》になるので、近所《きんじよ》の者《もの》を頼《たの》んで取《と》り敢《あへ》ず醫者《いしや》へ走《はし》らせた。さうして自分《じぶん》は枕元《まくらもと》へくつゝいて居《ゐ》た。彼等《かれら》は容易《ようい》なことで醫者《いしや》を聘《よ》ぶのではなかつた。然《しか》し其《その》最《もつと》も恐《おそ》れを懷《いだ》くべき金錢《きんせん》の問題《もんだい》が其《その》心《こゝろ》を抑制《よくせい》するには勘次《かんじ》は餘《あま》りに慌《あわ》てゝ且《かつ》驚《おどろ》いて居《ゐ》た。醫者《いしや》は鬼怒川《きぬがは》を越《こ》えて東《ひが
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