僻《ひが》んだ女房《にようばう》の心《こゝろ》に通《つう》ずる理由《わけ》がなかつた。さうして女房《にようばう》は激烈《げきれつ》な神經痛《しんけいつう》を訴《うつた》へつゝ死《し》んだ。卯平《うへい》は有繋《さすが》に泣《な》いた。葬式《さうしき》は姻戚《みより》と近所《きんじよ》とで營《いとな》んだが、卯平《うへい》も漸《やつ》と杖《つゑ》に縋《すが》つて行《い》つた。
其《そ》の秋《あき》の盆《ぼん》には赤痢《せきり》の騷《さわ》ぎも沈《しづ》んで新《あたら》しい佛《ほとけ》の數《かず》が殖《ふ》えて居《ゐ》た。墓地《ぼち》には掘《ほ》り上《あ》げた赤《あか》い土《つち》の小《ちひ》さな塚《つか》が幾《いく》つも疎末《そまつ》な棺臺《くわんだい》を載《の》せて居《ゐ》た。大抵《たいてい》は赤痢《せきり》に罹《かゝ》つて漸《やうや》く身體《からだ》に力《ちから》がついたばかりの人々《ひと/″\》が例年《れいねん》の如《ごと》く草刈鎌《くさかりがま》を持《も》つて六|日《か》の日《ひ》の夕刻《ゆふこく》に墓薙《はかなぎ》というて出《で》た。墓《はか》の邊《ほとり》は生《はえ》るに任
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