《はたら》かされたのは、夫婦《ふうふ》の間《あひだ》には僅《わづか》でも他人《たにん》の手《て》を藉《か》ることに金錢上《きんせんじやう》の恐怖《おそれ》を懷《いだ》かしめられたからであつた。女房《にようばう》はそれでも死《し》なゝかつた。然《しか》し殆《ほと》んど想像《さうざう》されなかつた疼痛《とうつう》が滿身《まんしん》に沁《し》み渡《わた》つた。軈《やが》て非常《ひじやう》な發熱《はつねつ》が伴《ともな》つた。それからといふものは三|年《ねん》も臥《ふせ》つた儘《まゝ》で季節《きせつ》が暖《あたゝ》かに成《な》れば稀《まれ》には蒲團《ふとん》からずり出《だ》して僅《わづか》に杖《つゑ》に縋《すが》つては軟《やはら》かな春《はる》の日《ひ》をさへ刺戟《しげき》に堪《た》へぬやうに眩《まぶ》しがつて居《ゐ》た。
お品《しな》の母《はゝ》との關係《くわんけい》が餘計《よけい》な告口《つげぐち》から女房《にようばう》の耳《みゝ》に入《はひ》つた。其《そ》の頃《ころ》暑《あつ》さに向《む》いて居《ゐ》た所爲《せゐ》でもあつたが女房《にようばう》はそれを苦《く》にし始《はじ》めてからがつ
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