》ぶことが億劫《おつくふ》で、大事《だいじ》な生命《いのち》といふことを考《かんが》へることさへ心《こゝろ》に暇《いとま》を持《も》たなかつた。僥倖《げうかう》にも卵膜《らんまく》を膨脹《ばうちやう》させた液體《みづ》が自分《じぶん》から逃《に》げ去《さ》る途《みち》を求《もと》めて其《そ》の包圍《はうゐ》を破《やぶ》つた。數升《すうしよう》の液體《みづ》が迸《ほとばし》つて、驚《おどろ》いて横《よこた》へた身《み》を蒲團《ふとん》の上《うへ》に浮《う》かさうとした。それと共《とも》に安住《あんぢう》の場所《ばしよ》を失《うしな》うた胎兒《たいじ》は自然《しぜん》に母體《ぼたい》を離《はな》れて出《で》ねばならなかつた。胎兒《たいじ》は勿論《もちろん》死《し》んでさうして手《て》を出《だ》した。其《そ》の時《とき》女房《にようばう》は非常《ひじやう》に疲憊《ひはい》して居《ゐ》たが、我慢《がまん》をするからといつたばかりに卯平《うへい》はぐつと力《ちから》を入《い》れて引《ひ》き出《だ》した。彼《かれ》の惡意《あくい》を有《も》たぬ手《て》が斯《かく》の如《ごと》く残酷《ざんこく》に働
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