も幼兒《えうじ》の死《し》ぬのは瘡《かさ》ツ子《こ》だからといふのみで病毒《びやうどく》の慘害《さんがい》を知《し》る筈《はず》もなく隨《したが》つて怖《おそ》れる筈《はず》もなかつた。お品《しな》の母《はゝ》は非常《ひじやう》な貧乏《びんばふ》な寡婦《ごけ》で、足《あし》が立《た》つか立《た》たぬのお品《しな》を懷《ふところ》にして悲慘《みじめ》な生活《せいくわつ》をして居《ゐ》た。それを卯平《うへい》は心《こゝろ》から哀憐《あはれみ》の情《じやう》を以《もつ》て見《み》て居《ゐ》た。お品《しな》の母《はゝ》は百姓《ひやくしやう》としては格別《かくべつ》の働《はたら》きを有《も》たなかつたから、寡婦《ごけ》として獨立《どくりつ》して行《ゆ》くには非常《ひじやう》な困難《こんなん》でなければ成《な》らぬだけ身體《からだ》の何處《どこ》にか軟《やはら》かな容子《ようす》があつて、清潔好《きれいずき》な卯平《うへい》の心《こゝろ》を惹《ひ》いた。何處《どこ》か人懷《ひとなつ》こい處《ところ》があつて只管《ひたすら》に他人《たにん》の同情《どうじやう》に渇《かつ》して居《ゐ》たお品《しな》の
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