はら》かな光《ひかり》を有《も》つて居《ゐ》るやうで、思《おも》ひ切《き》つてせねば成《な》らぬ事件《じけん》に出逢《であ》うても二|度《ど》や三|度《ど》は逡巡《しりごみ》するのがどうかといへば彼《かれ》の癖《くせ》の一つであつた。ぶすりと膠《にべ》ない容子《ようす》でも表面《へうめん》に現《あらは》れたよりも暖《あたゝ》かで、女《をんな》に脆《もろ》い處《ところ》さへあるのであつた。彼《かれ》が盛年《さかり》の頃《ころ》に他人《たにん》の目《め》についたのは、自分自身《じぶんじしん》の仕事《しごと》には餘《あま》り精《せい》を出《だ》さないやうに見《み》えることであつた。大概《たいがい》のことでは一|向《かう》に騷《さわ》がぬやうな彼《かれ》の容子《ようす》が外《ほか》からではさうらしくも見《み》えるのであつた。も一つは服裝《ふくさう》を決《けつ》して崩《くず》さぬことであつた。彼《かれ》は他人《たにん》に傭《やと》はれて居《ゐ》ながら、草刈《くさかり》にでも出《で》る時《とき》は手拭《てぬぐひ》と紺《こん》の單衣《ひとへもの》と三|尺帶《じやくおび》とを風呂敷《ふろしき》に包《つ
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