た。
「篦棒《べらぼう》、以前《めえかた》のことなんぞ、外聞《げえぶん》惡《わ》りい、俺《お》らなんざこんで隨分《ずゐぶん》無鐵砲《がしよき》なこたあしたが、こんで女《をんな》にや煎《え》れねえつちやつたから」と首《くび》に珠數《じゆず》を卷《ま》いた爺《ぢい》さんが側《そば》でそれを見《み》て居《ゐ》て呶鳴《どな》つた。
「おめえ、怒《おこ》んなくつてもえゝやな、酒《さけ》の座敷《ざしき》ぢや其《それ》つ位《くれえ》なこた仕方《しかた》あんめえな」と叱《しか》られた婆《ばあ》さんは右《みぎ》の手《て》を上《うへ》から左《ひだり》の手《て》の平《ひら》へ打《う》ちつけて、大聲《おほごゑ》を立《た》てゝ笑《わら》ひながら
「どうしたんでえまあ一|杯《ぺえ》やらつせえね」と婆《ばあ》さんは更《さら》に卯平《うへい》へ茶碗《ちやわん》を突《つ》きつけた。卯平《うへい》は一|杯《ぱい》をも口《くち》へ銜《ふく》まぬのに先刻《さつき》から只《たゞ》凝然《ぢつ》として、騷《さわ》ぎを聞《き》くでもなく聞《き》かぬでもない容子《ようす》をして胡坐《あぐら》をかいて居《ゐ》た。二|度目《どめ》の酒《さ
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