が閉《と》ぢては毎日《まいにち》暖《あたゝか》い日《ひ》の光《ひかり》に溶解《ようかい》されるのを見《み》て居《ゐ》た。彼《かれ》にはそれが只《たゞ》さういふ現象《げんしやう》としてのみ眼《め》に映《うつ》つた。彼《かれ》は自由《じいう》を失《うしな》うた其《その》手先《てさき》が暖《あたゝか》い春《はる》の日《ひ》が積《つも》つて漸次《だん/\》に和《やは》らげられるであらうといふ微《かす》かな希望《のぞみ》をさへ起《おこ》さぬ程《ほど》身《み》も心《こゝろ》も僻《ひが》んでさうして苦《くる》しんだ。彼《かれ》の風呂敷包《ふろしきづゝみ》から獲《え》つゝあつた金錢《きんせん》は些少《すこし》のものであつたが、それは時《とき》として彼《かれ》の硬《こは》ばつた舌《した》に適《てき》した食料《しよくれう》の或《ある》物《もの》を求《もと》める外《ほか》に一|部分《ぶぶん》は與吉《よきち》の小《ちひ》さな手《て》に落《おと》されるのであつた。果敢《はか》ない煙草入《たばこいれ》の叺《かます》の中《なか》を懸念《けねん》するやうに彼《かれ》は數次《しばしば》覗《のぞ》いた。陰鬱《いんうつ》な
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