平《うへい》はそれと共《とも》に其《そ》の乾燥《かんさう》した肌膚《はだ》が餘計《よけい》に荒《あ》れて寒冷《かんれい》の氣《き》が骨《ほね》に徹《てつ》したかと思《おも》ふと俄《にはか》に手《て》の自由《じいう》を失《うしな》つて來《き》たやうに自覺《じかく》した。彼《かれ》は繩《なは》を綯《な》ふにも草鞋《わらぢ》を作《つく》るにも、其《それ》が或《ある》凝塊《しこり》が凡《すべ》ての筋肉《きんにく》の作用《さよう》を阻害《そがい》して居《ゐ》るやうで各部《かくぶ》に疼痛《とうつう》をさへ感《かん》ずるのであつた。器用《きよう》な彼《かれ》の手先《てさき》が彼自身《かれじしん》の物《もの》ではなくなつた。彼《かれ》は與吉《よきち》が狹《せま》い戸口《とぐち》に立《た》つ毎《ごと》に心《こゝろ》から迎《むか》へる以前《いぜん》の卯平《うへい》ではなくなつて居《ゐ》た。それでも彼《かれ》は與吉《よきち》を愛《あい》して居《ゐ》た。
「明日《あした》にしろ」と彼《かれ》は簡單《かんたん》に拒絶《きよぜつ》してさうしてそれつきりいはないことが有《あ》るやうになつた。與吉《よきち》は屡《しば
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