《あ》きつゝ寒《さむ》さに苛《いぢ》められて居《ゐ》た苦《くる》しさを、もう空《そら》の何處《どこ》にか其《そ》の勢《いきほ》ひを潜《ひそ》めて躊躇《ちうちよ》して居《ゐ》る筈《はず》の春《はる》に先立《さきだ》つて一|度《ど》に取返《とりかへ》さうとするものゝ如《ごと》く騷《さわ》いで/\又《また》騷《さわ》ぐのである。酒《さけ》が其處《そこ》に火《ひ》を點《てん》じた。庭《には》の四|本《ほん》の青竹《あをだけ》に長《は》つた繩《なは》の赤《あか》や青《あを》や黄《き》の刻《きざ》んだ注連《しめ》がひら/\と動《うご》きながら老人等《としよりら》と一《ひと》つに私語《さゝや》くやうに見《み》えた。日《ひ》は陽氣《やうき》な庭《には》へ一|杯《ぱい》に暖《あたゝ》かな光《ひかり》を投《なげ》た。庭《には》には子供等《こどもら》や村落《むら》の者《もの》がぞろつと立《たつ》て此《この》騷《さわ》ぎを笑《わら》つて見《み》て居《ゐ》た。其《その》邊《へん》には難《むづ》かし相《さう》なものは一《ひと》つも見《み》られなかつた。彼等《かれら》を包《つゝ》んだ軟《やはら》かな空氣《くうき》が
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