液《けつえき》の一|滴《てき》が俄《にはか》に沸《わ》いて彼等《かれら》の全體《ぜんたい》を支配《しはい》し且《かつ》活動《くわつどう》せしめたかと思《おも》ふやうに、枯燥《こさう》しつゝある彼等《かれら》の顏《かほ》にはどれでも華《はな》やかな紅《べに》を潮《さ》して居《ゐ》る。彼等《かれら》は全《まつた》く節制《たしなみ》を失《うしな》つて居《を》る。彼等《かれら》は平生《へいぜい》家族《かぞく》に交《まじ》つて、其《その》老衰《らうすゐ》の身《み》がどうしても自然《しぜん》に壯者《さうしや》の間《あひだ》に疎外《そぐわい》されつゝ、各自《かくじ》は寧《むし》ろ無意識《むいしき》でありながら然《しか》も鬱屈《うつくつ》して懶《ものう》い月日《つきひ》を過《すご》しつゝある時《とき》に、例年《れいねん》の定《さだ》めである念佛《ねんぶつ》の日《ひ》はさういふ凡《すべ》てを放《はな》つ自由境《じいうきやう》である。彼等《かれら》は其處《そこ》に些《すこし》の遠慮《ゑんりよ》をも有《も》つて居《を》らぬ。彼等《かれら》は冬季《とうき》の間《あひだ》を長《なが》い夜《よ》の眠《ねむ》りに飽
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