》が濟《す》んでから誰《たれ》かゞ雨戸《あまど》を二三|枚《まい》引《ひ》いたので寮《れう》の内《うち》は薄闇《うすぐら》くなつて居《ゐ》た。佛壇《ぶつだん》の前《まへ》には婆《ばあ》さんが三四|人《にん》でひそ/″\と額《ひたひ》を鳩《あつ》めて居《ゐ》る。
「此《こ》の婆奴等《ばゝあめら》、そつちの方《はう》で偸嘴《ぬすみぐひ》してねえで、佳味《うめ》え物《もの》有《あ》つたら此方《こつち》へ持《も》つて來《こ》う」先刻《さつき》の首《くび》へ珠數《じゆず》を卷《ま》いた小柄《こがら》な爺《ぢい》さんが呶鳴《どな》つた。
「盜《ぬす》んだつち譯《わけ》ぢやねえが、蓋《ふた》とつて見《み》た處《ところ》なんだよ」さういつて婆《ばあ》さん等《ら》は風呂敷《ふろしき》の四隅《よすみ》を掴《つか》んで圍爐裏《ゐろり》の側《そば》へ持《も》つて來《き》た。飯《めし》つぎには干瓢《かんぺう》を帶《おび》にした稻荷鮨《いなりずし》が少《すこ》し白《しろ》い腹《はら》を見《み》せてそつくりと積《つ》まれてあつた。鮨《すし》は少《すこ》し減《へ》つて居《ゐ》た。
「獨《ひとり》でせしめちやえかねえか
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