《ごご》から村落《むら》のどの家《いへ》からも風呂敷包《ふろしきづゝみ》の飯《めし》つぎや重箱《ぢゆうばこ》が寮《れう》へ運《はこ》ばれた。老人等《としよりら》は皆《みな》夫《それ》を埃《ほこり》だらけな佛壇《ぶつだん》の前《まへ》に供《そな》へた。穢《きたな》い風呂敷包《ふろしきづゝみ》が小山《こやま》の如《ごと》く積《つ》まれた時《とき》念佛《ねんぶつ》の太鼓《たいこ》が復《また》鳴《な》つた。それから庭《には》に聚《あつま》つた子供等《こどもら》の前《まへ》に其《そ》の飯《めし》つぎや重箱《ぢゆうばこ》の供物《くもつ》が分與《ぶんよ》された。念佛衆《ねんぶつしゆう》はそれから更《さら》に酒《さけ》を飮《の》んで各自《てんで》に重箱《ぢゆうばこ》や飯《めし》つぎを箸《はし》でつゝいて近頃《ちかごろ》にない口腹《こうふく》の慾《よく》を充《み》たしめた。獨《ひとり》卯平《うへい》は杯《さかづき》を手《て》にしなかつた。彼《かれ》は他《た》の老人《としより》に先立《さきだ》つて自分《じぶん》の家《うち》の重箱《ぢゆうばこ》を持《も》つてぽさ/\と歸《かへ》つた。大抵《たいてい》の家《う
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