伴侶《なかま》が能《よ》くするやうに彼《かれ》は持病《ぢびやう》の平癒《へいゆ》を佛《ほとけ》に祈《いの》つたのでもあつた。それが明日《あす》からといふ日《ひ》に彼《かれ》は其《その》残《のこ》つた煙草《たばこ》を殆《ほとん》ど一|日《にち》喫《す》ひ續《つゞ》けた。煙草入《たばこいれ》の叺《かます》を倒《さかさ》にして爪先《つまさき》でぱた/\と彈《はじ》いて少《すこ》しの粉《こ》でさへ餘《あま》さなかつた。其《その》後《のち》手《て》についた癖《くせ》が何《なに》かにつけては煙管《きせる》を掴《つか》ませるので、止《や》めたことを彼《かれ》は心《こゝろ》に悔《く》いることもあつた。然《しか》し彼《かれ》は又《また》直《すぐ》に佛《ほとけ》に對《たい》しての誓約《せいやく》を破《やぶ》ることに非常《ひじやう》な恐怖《きようふ》を懷《いだ》いた。彼《かれ》はどうしても斷念《だんねん》せねばならぬ心《こゝろ》の苦《くる》しみを紛《まぎ》らす爲《ため》に蕗《ふき》の葉《は》や桑《くは》の葉《は》を干《ほ》して煙管《きせる》の火皿《ひざら》につめて見《み》たが、どれでも煙草《たばこ》のやうに
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