つく時《とき》ほかりと感《かん》じた。さうして箸《はし》を措《を》いた後《のち》漸《やうや》く身體《からだ》に快《こゝろ》よい暖氣《だんき》の加《くは》はつたことを知《し》つた。少量《せうりやう》の水《みづ》を注《つい》だ鐵瓶《てつびん》の沸《わ》くのを彼《かれ》は復《また》凝然《ぢつ》として待《ま》つた。彼《かれ》は先刻《さつき》からどうかすると手《て》もとを探《さぐ》るやうにして煙草入《たばこいれ》を膝《ひざ》にした。煙草入《たばこいれ》は虚空《から》であつた。彼《かれ》は自分《じぶん》の體力《たいりよく》が滅切《めつきり》と減《へつ》て仕事《しごと》をするのに手《て》が利《き》かなくなつて、小遣錢《こづかひせん》の不足《ふそく》を感《かん》じた時《とき》、自棄《やけ》に成《な》つた心《こゝろ》から斷然《だんぜん》其《その》噛《か》む程《ほど》好《すき》な煙草《たばこ》を廢《よ》さうとした。彼《かれ》は悲慘《みじめ》な自分《じぶん》を自分《じぶん》が苛《いぢ》めてやるやうな心持《こゝろもち》を一|方《ぱう》には有《も》つた。一|方《ぱう》には又《また》無智《むち》な彼等《かれら》の
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