た。かさ/\と乾燥《かんさう》した肌膚《はだへ》が一|般《ぱん》の老衰者《らうすゐしや》に通有《つういう》な哀《あは》れさを見《み》せて居《ゐ》るばかりでなく、其《その》大《おほ》きな身體《からだ》は肉《にく》が落《おち》てげつそりと肩《かた》がこけた。彼《かれ》は身體《からだ》の窶《やつ》れを自分《じぶん》でも知《し》つた。彼《かれ》は此《この》一|年《ねん》の間《あひだ》に持病《ぢびやう》の僂麻質斯《レウマチス》が執念《しふね》く骨《ほね》の何處《どこ》かを蝕《は》みつゝあるやうに感《かん》じた。暑《あつ》い季節《きせつ》になれば必《かなら》ず其《そ》の勢《いきほ》ひを潜《ひそ》めた持病《ぢびやう》が彼《かれ》を忘《わす》れて去《さ》らなかつた。
 鍋《なべ》の中《なか》は少《すこ》しぷんと焦《こげ》つく臭《にほひ》がした。彼《かれ》はお玉杓子《たまじやくし》で掻《か》き立《た》てた。鍋《なべ》の底《そこ》は手《て》を動《うご》かす毎《ごと》にぢり/\と鳴《な》つた。彼《かれ》は僅《わづか》に熱《あつ》い雜炊《ざふすゐ》が食道《しよくだう》を通過《つうくわ》して胃《ゐ》に落《お》ち
前へ 次へ
全956ページ中746ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
長塚 節 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング