く》の者《もの》には竊《そつ》と支度《したく》をして、動《うご》けぬ程《ほど》褞袍《どてら》を襲《かさ》ねて節制《だらし》なく紐《ひも》を締《し》めて、表《おもて》の戸《と》を開《あ》けるとひやりとする曉《あけ》近《ちか》い外氣《ぐわいき》に白《しろ》い息《いき》を吹《ふ》きながら、大《おほ》きな塊《かたまり》が轉《ころ》がつて行《ゆ》くやうに其《そ》の姿《すがた》を運《はこ》んだ。彼等《かれら》は外《そと》の壁際《かべぎは》から麁朶《そだ》の一|把《は》を持《も》つて行《ゆ》く者《もの》も有《あ》つた。舊暦《きうれき》の二|月《ぐわつ》の半《なかば》に成《な》ると例年《れいねん》の如《ごと》く念佛《ねんぶつ》の集《あつま》りが有《あ》るのである。彼等《かれら》はそれが日輪《にちりん》に對《たい》する報謝《はうしや》を意味《いみ》して居《ゐ》るのでお天念佛《てんねんぶつ》というて居《ゐ》る。彼等《かれら》の口《くち》からさうして村落《むら》の一|般《ぱん》から訛《なま》つて「おで念佛《ねんぶつ》」と喚《よ》ばれた。先驅《さきがけ》の光《ひかり》が各自《てんで》の顏《かほ》を微明《ほのあ
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