か》るくして日《ひ》が地平線上《ちへいせんじやう》に其《そ》の輪郭《りんくわく》の一|端《たん》を現《あら》はさうとする時間《じかん》を誤《あやま》らずに彼等《かれら》は揃《そろ》つて念佛《ねんぶつ》を唱《とな》へる筈《はず》なので、まだ凡《すべ》てが夜《よ》の眠《ねむり》から離《はな》れぬ内《うち》に皆悉《みんな》口《くち》を嗽《すゝ》いで待《ま》つて居《ゐ》ねばならぬのである。念佛衆《ねんぶつしう》の内《うち》には選《えら》ばれて法願《ほふぐわん》と喚《よ》ばれて居《ゐ》る二人《ふたり》ばかりの爺《ぢい》さんが、難《むづ》かしくもない萬事《ばんじ》の世話《せわ》をした。法願《ほうぐわん》は凍《こほ》り相《さう》な手《て》に鉦《かね》を提《さ》げてちらほらと大《おほき》な塊《かたまり》のやうな姿《すがた》が動《うご》いて來《く》るまでは力《ちから》の限《かぎ》り辻《つじ》に立《た》つてかん/\と叩《たゝ》くのである。念佛寮《ねんぶつれう》の雨戸《あまど》は空洞《からり》と開《あ》け放《はな》たれて、殊更《ことさら》に身《み》に沁《し》む寒《さむ》さに圍爐裏《ゐろり》には麁朶《そだ》の
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