けな、そんぢや俺《お》れも困《こま》つから其處《そこ》はお互《たげえ》にかう物《もの》は云《ゆ》はねえことにしてやつてくんなくつちやなあ」と南《みなみ》の亭主《ていしゆ》は一|旦《たん》橋渡《はしわた》しをすれば後《あと》は再《ふたゝ》びどうならうともそれは又《また》其《そ》の時《とき》だといふ心《こゝろ》から其處《そこ》は加《い》い加減《かげん》に繕《つくろ》うて遁《にげ》るやうに歸《かへ》つた。彼《かれ》はどちらからも依頼《いらい》された仲裁人《ちうさいにん》ではなかつた。彼等《かれら》は漸次《しば/\》家族《かぞく》の間《あひだ》の殊《こと》に夫婦《ふうふ》の爭《あらそ》ひに深入《ふかいり》して却《かへつ》て雙方《さうはう》から恨《うら》まれるやうな損《そん》な立場《たちば》に嵌《はま》つた經驗《けいけん》があるので、壞《こは》れた茶碗《ちやわん》をそつと合《あは》せるだけの手數《てすう》で巧《たくみ》に身《み》を引《ひ》く方法《はうはふ》と機會《きくわい》とを知《し》つて居《ゐ》た。黄昏《たそがれ》が彼《かれ》に其《そ》の機會《きくわい》を與《あた》へた。
勘次《かんじ》は彼
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