歸途《きと》を急《いそ》いだ。彼《かれ》は行《ゆ》く/\午前《ごぜん》に見《み》て暫《しばら》く忘《わす》れて居《ゐ》た百姓《ひやくしやう》の活動《くわつどう》を再《ふたゝ》び目前《もくぜん》に見《み》せ付《つけ》られて隱《かく》れて居《ゐ》た憤懣《ふんまん》の情《じやう》が復《ま》た勃々《むか/\》と首《くび》を擡《もた》げた。彼《かれ》は自分《じぶん》の瘡痍《きず》が輕《かる》く醫者《いしや》から宣告《せんこく》された時《とき》は何《なん》となく安心《あんしん》されたのであつたが、然《しか》し又《また》漸次《だんだん》道程《みちのり》を運《はこ》びつゝ種々《いろいろ》な雜念《ざふねん》が湧《わ》くに連《つ》れて、失望《しつばう》と不滿足《ふまんぞく》を心《こゝろ》に懷《いだ》きはじめた。彼《かれ》は家《いへ》に歸《かへ》つた後《のち》瘡痍《きず》を重《おも》く見《み》せ掛《か》けようとするのには醫者《いしや》の診斷《しんだん》が寸毫《すんがう》も彼《かれ》に味方《みかた》して居《ゐ》なかつたからである。
 彼《かれ》の家《いへ》に歸《かへ》つたのは日《ひ》が西《にし》に連《つらな》
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