つ》て聞《き》いた。
「此《こ》の藥《くすり》をやるから、自分《じぶん》で貼《は》つた方《はう》がえゝ、此《こ》れで癒《なほ》るから」と醫者《いしや》は一袋《ひとふくろ》の藥《くすり》を與《あた》へた。勘次《かんじ》は一|度《ど》整骨醫《せいこつい》の門《もん》を潜《くゞ》つてからは、世間《せけん》には這※[#「麾」の「毛」にかえて「公」の右上の欠けたもの、第4水準2−94−57]《こんな》に怪我人《けがにん》の數《かず》が有《あ》るものだらうかと絶《た》えず驚愕《おどろき》と恐怖《おそれ》との念《ねん》に壓《あつ》せられて居《ゐ》たが、珊瑚樹《さんごじゆ》の繁茂《はんも》した木蔭《こかげ》から竹《たけ》の垣根《かきね》を往來《わうらい》へ出《で》た時《とき》彼《かれ》は身《み》も心《こゝろ》も俄《にはか》に輕《かる》くなつたことを感《かん》じた。彼《かれ》は小《ちひ》さな怪我人《けがにん》から聯想《れんさう》して此《こ》れも毎日《まいにち》庭《には》の木《き》を覘《ねら》つて居《ゐ》る與吉《よきち》を憂《うれ》へ出《だ》した。彼《かれ》は脚力《きやくりよく》の及《およ》ぶ限《かぎ》り
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