鋏《はさみ》で白紙《はくし》を刻《きざ》んで、眞鍮《しんちう》の箆《へら》で其《その》藥《くすり》を紙《かみ》へ塗抹《ぬ》つて患部《くわんぶ》へ貼《は》つてやつた。怪我人等《けがにんら》は只《たゞ》凝然《ぢつ》として醫者《いしや》の熟練《じゆくれん》した手《て》もとを凝視《ぎようし》した。勘次《かんじ》は他人《ひと》の後《うしろ》から爪立《つまだて》をした。二三|人《にん》小《ちひ》さな療治《れうぢ》が濟《す》んで十二三の男《をとこ》の子《こ》が仕事衣《しごとぎ》の儘《まゝ》な二十四五の百姓《ひやくしやう》に負《お》はれて醫者《いしや》の前《まへ》に据《す》ゑられた。醫者《いしや》は縁側《えんがは》の明《あか》るみへ座蒲團《ざぶとん》を敷《し》いて出《で》た。怪我人《けがにん》は醫者《いしや》の前《まへ》へ出《で》ると恐怖《きようふ》に襲《おそ》はれたやうに俄《にはか》に鳴咽《をえつ》した。醫者《いしや》は横《よこ》に膨《ふく》れた大《おほき》な身體《からだ》でゆつたりと胡坐《あぐら》をかいた儘《まゝ》怪我人《けがにん》の左《ひだり》の手《て》を捲《まく》つて見《み》た。怪我人《けがに
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