ら》は淺《あさ》い水《みづ》の底《そこ》から遙《はる》かに深《ふか》く遠《とほ》く光《ひか》つた。さうして何處《どこ》からか迷《まよ》ひ出《だ》して落付《おちつ》く場所《ばしよ》を見出《みいだ》し兼《か》ねて困《こま》つて居《ゐ》るやうな白《しろ》い雲《くも》が映《うつ》つて、勘次《かんじ》が走《はし》れば走《はし》る程《ほど》先《さき》へ/\と移《うつ》つた。勘次《かんじ》はそれを凝視《みつ》めて行《ゆ》くと何《なん》だか頭腦《あたま》がぐら/\するやうに感《かん》ぜられた。彼《かれ》は昨夜《ゆふべ》は眠《ねむ》らなかつた。彼《かれ》の自分《じぶん》獨《ひとり》で噛《か》み殺《ころ》して居《ゐ》ねばならぬ忌々敷《いま/\し》さが頭腦《あたま》を刺戟《しげき》した。彼《かれ》は只管《ひたすら》肘《ひぢ》の瘡痍《きず》の實際《じつさい》よりも幾倍《いくばい》遙《はるか》に重《おも》く他人《ひと》には見《み》せたい一|種《しゆ》の解《わか》らぬ心持《こゝろもち》を有《も》つて居《ゐ》た。寸暇《すんか》をも惜《をし》んだ彼《かれ》の心《こゝろ》は從來《これまで》になく、自分《じぶん》の損失《
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