はれて居《ゐ》る。さうして低《ひく》く相《あひ》接《せつ》して居《ゐ》る木立《こだち》との間《あひだ》に截然《くつきり》と強《つよ》い線《せん》を描《ゑが》いて空《そら》は憎《にく》い程《ほど》冴《さえ》て居《ゐ》る。さうだ。凡《すべ》ての植物《しよくぶつ》が有《も》つて居《ゐ》る緑素《りよくそ》は悉皆《みんな》空《そら》が持《も》つて居《ゐ》るのだ。春《はる》になると空《そら》はそれを雨《あめ》に溶解《ようかい》して撒《ま》いてやるのだ。それだから濕《うるほ》うた枝《えだ》はどれでも青《あを》く彩《いろど》られねばならぬ筈《はず》である。それだから幾度《いくたび》百姓《ひやくしやう》の手《て》が耕《たがや》さうとも其《そ》の土《つち》を乾燥《かんさう》して濡《ぬ》らさぬ工夫《くふう》を立《たて》ない限《かぎ》りは、思《おも》はぬ處《ところ》にぽつり/\と草《くさ》の葉《は》が青《あを》く出《で》て、雨《あめ》が降《ふ》れば降《ふ》る程《ほど》何處《どこ》でも一|杯《ぱい》に其《そ》の草《くさ》の葉《は》が濃《こ》く成《な》つて行《ゆ》かねばならぬ筈《はず》である。それを晩秋《ばんしう
前へ 次へ
全956ページ中697ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
長塚 節 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング