それ》から又《また》一|散《さん》に走《はし》つた。彼《かれ》は少《すこ》しの間《ま》に酷《ひど》く暇《ひま》どつたやうに感《かん》じた。足《あし》には脚絆《きやはん》と草鞋《わらぢ》とを穿《はい》て背《せ》には蓙《ござ》を負《お》うて居《ゐ》る。蓙《ござ》は終《た》えず彼《かれ》の背後《はいご》にがさ/\と鳴《な》つて其《そ》の耳《みゝ》を騷《さわ》がした。彼《かれ》は遂《つひ》に土手《どて》から折《を》れて東《ひがし》へ/\と走《はし》つた。
 村落《むら》がぽつり/\と木立《こだち》を形《かたど》つて居《ゐ》る外《ほか》には一|帶《たい》に只《たゞ》連續《れんぞく》して居《ゐ》る水田《すゐでん》を貫《つらぬ》いて道《みち》は遙《はるか》に遠《とほ》く、ひつゝいたやうな臺地《だいち》の林《はやし》を望《のぞ》んで一|直線《ちよくせん》である。彼《かれ》は嘗《かつ》て其處《そこ》を歩《ある》いたことはあつた。然《しか》し彼《かれ》の知《し》つてるのは幾屈曲《いくくつきよく》をなして居《ゐ》た當時《たうじ》である。彼《かれ》は何時《いつ》の間《ま》にか極端《きよくたん》に人工的《じんこ
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