/\》の頂《いたゞき》を撫《な》でゝ居《ゐ》る。爽《さわや》かな秋《あき》は斯《か》くしてからりと展開《てんかい》した。
 然《しか》し勘次《かんじ》の作《つく》つた陸稻《をかぼ》はかういふ畑《はたけ》ではなく、梢《こずゑ》の荒《すさ》んだ雜木林《ざふきばやし》の間《あひだ》のみであつた。彼《か》の開墾地《かいこんち》へは周圍《しうゐ》に隱《かく》れる場所《ばしよ》が有《あ》る所爲《せゐ》か、村落《むら》の何處《どこ》にも俄《にはか》に其《その》聲《こゑ》を聞《き》かなくなつた雀《すゞめ》が群《ぐん》をなして日毎《ひごと》に襲《おそ》うた。彼《かれ》はそれでも根《こん》よく白《しろ》い瓦斯絲《ガスいと》を縱横《じゆうわう》に畑《はたけ》の上《うへ》に引《ひ》つ張《ぱ》つてひら/\と燭奴《つけぎ》を吊《つ》つて威《おど》して見《み》た。それでも狡獪《かうくわい》な雀《すゞめ》の爲《ため》に籾《もみ》のまだ堅《かた》まらないで甘《あま》い液汁《しる》の如《ごと》き状態《じやうたい》をなして居《ゐ》る内《うち》から小《ちひ》さな嘴《くちばし》で噛《か》んで夥《したゝ》かに籾殼《もみがら》が滾
前へ 次へ
全956ページ中685ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
長塚 節 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング