《こぼ》された。彼《かれ》は空《から》つ風《かぜ》が障《さは》つたとは思《おも》つて居《ゐ》ても、長《なが》い幹《から》を刈《か》り倒《たふ》した時《とき》はそれでも熱心《ねつしん》で且《かつ》愉快《ゆくわい》であつたが、然《しか》し乾燥《かんさう》して米《こめ》にした時《とき》には彼《かれ》は夏《なつ》の頃《ころ》の豫想《よさう》と非常《ひじやう》な相違《さうゐ》であることを確《たしか》めて落膽《らくたん》せざるを得《え》なかつた。
 彼《かれ》の淺猿《さも》しい心《こゝろ》が僅《わづか》な米《こめ》や麥《むぎ》を※[#「姉」の正字、「女+※[#第3水準1−85−57]のつくり」、308−10]《あね》なるものゝおつたに騙《だま》して取《と》られたかと思《おも》ひ出《だ》しては暫《しばら》くの間《あひだ》忌々敷《いま/\し》さに堪《た》へなかつた。彼《かれ》は勢《いきほ》ひ何《なに》かに當《あた》り散《ち》らさうとするのにおつぎと與吉《よきち》とに對《たい》しては餘《あま》りに深《ふか》い親《した》しみを有《も》つて居《ゐ》た。斯《か》うして彼《かれ》の卯平《うへい》に對《たい》する
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