に起伏《きふく》して鬼怒川《きぬがは》の土手《どて》に近《ちか》く向方《むかう》へ低《ひく》くこけて居《ゐ》る。さういふ畑《はたけ》の周圍《まはり》に立《たつ》て居《ゐ》る蜀黍《もろこし》は強《つよ》い莖《くき》がすつくりと穗《ほ》を支《さゝへ》て、それが疎《まば》らな垣根《かきね》のやうに連《つらな》つて畑《はたけ》から畑《はたけ》を繼《つな》いでは幾《いく》十|度《ど》の屈折《くつせつ》をなしつゝ段々《だん/\》に短《みぢか》くなつて此《こ》れも鬼怒川《きぬがは》の土手《どて》に近《ちか》く竭《つ》きる。土手《どて》の篠《しの》の高《たか》さに見《み》える蜀黍《もろこし》は南風《なんぷう》を受《う》けて、さし扛《あ》げた手《て》の如《ごと》き形《かたち》をなしては先《さき》から先《さき》へと動《うご》いて、其《そ》の手《て》が溯《さかのぼ》る白帆《しらほ》を靜《しづ》かに上流《じやうりう》へ押《お》し進《すゝ》めて居《ゐ》る。さうしては又《また》其《そ》の疎《まば》らな垣根《かきね》は長《なが》い短《みじか》いによつて遠《とほ》くの林《はやし》の梢《こずゑ》や冴《さ》えた山々《やま
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