な自然《しぜん》の懷《ふところ》から財貨《ざいくわ》が百姓《ひやくしやう》の手《て》に必《かなら》ず一|度《ど》與《あた》へられる秋《あき》の季節《きせつ》に成《な》れば、其《そ》の財貨《ざいくわ》を保《たも》つた田《た》や畑《はたけ》の穗先《ほさき》が之《これ》を嫉《ねた》む一|部《ぶ》の自然現象《しぜんげんしやう》に對《たい》して常《つね》に戰慄《せんりつ》しつゝ且《かつ》泣《な》いた。二百十|日《か》から廿|日《か》の間《あひだ》に渡《わた》つての暴風《ばうふう》は懸念《けねん》した程《ほど》のことはなく、只《たゞ》秋《あき》の空《そら》は六かし相《さう》に低《ひく》く成《な》つて棒《ぼう》のやうな雲《くも》へ煙《けぶり》の樣《やう》な雲《くも》がぽつり/\と纏《まつは》つて居《ゐ》る日《ひ》が續《つゞ》いて二三|日《にち》晝《ひる》から夜《よる》へ掛《か》けてぼか/\と暖《あたゝ》かい空《から》つ風《かぜ》が思《おも》ひ切《き》り吹《ふ》いた。小松《こまつ》や櫟《くぬぎ》の林《はやし》に交《まじ》つて、之《これ》に觸《ふ》れゝば人《ひと》の肌膚《はだへ》に血《ち》を見《み》せる
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