んじ》は漸《やうや》くこれだけいつた。淺猿《さも》しい彼《かれ》はおつたへやつた南瓜《たうなす》を換《か》へて置《お》いたのであつた。
「どうしたつけ、昨日《きのふ》の豆《まめ》はそんでもたんと收穫《と》れた割合《わりえゝ》だつけが」おつたが謎《なぞ》のやうにいつても勘次《かんじ》は更《さら》にはき/\といはなかつた。おつたも不快《ふくわい》な容子《ようす》をしながら南瓜《たうなす》と葱《ねぎ》とを脊負《しよ》つて別《べつ》に口《くち》を利《き》くでもなく、只《たゞ》卯平《うへい》と二言《ふたこと》三言《みこと》いつてもうどうでも好《い》いといふ態度《たいど》で出《で》て行《い》つた。勘次《かんじ》はつく/″\と中間《ちうかん》の痛《いた》く痩《や》せて括《くび》れた俵《たわら》を見《み》た。
 財貨《ざいくわ》によつて物質的《ぶつしつてき》の滿足《まんぞく》を自分《じぶん》の暖《あたゝ》かな懷《ふところ》に感《かん》じた時《とき》凡《すべ》ては此《こ》れを失《うしな》ふまいとする恐怖《きようふ》から絶《た》えず其《その》心《こゝろ》を騷《さわ》がせつゝあるやうに、無盡藏《むじんざう》
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