の側《そば》に牛鑵《ぎうくわん》を手《て》にして立《た》つた卯平《うへい》を改《あらた》めて更《さら》に不快《ふくわい》な目《め》を以《もつ》て凝視《ぎようし》しながら、彼《かれ》の心《こゝろ》の裡《うち》には惜《を》しかつたといふ念慮《ねんりよ》が何《なん》といふことはなしに只《たゞ》ふいと湧《わ》いたのであつた。
「袋《ふくろ》は明日《あした》持《も》つて來《き》てくんなくつちや畢《を》へねえぞ」と勘次《かんじ》はおつたの後《あと》から追《お》ひ掛《か》けるやうにしていつた。
おつたは垣根《かきね》に添《そ》うて後《うしろ》の林《はやし》の側《そば》から田圃《たんぼ》へ出《で》た。道端《みちばた》の竹《たけ》の梢《こずゑ》には何處《どこ》までも偃《は》うて一|杯《ぱい》に乘《の》り掛《かゝ》らねば止《や》むまいとする毒《どく》なせんにん草《さう》がくつきりと白《しろ》く誇《ほこ》つて居《ゐ》る。小《ちひ》さな身體《からだ》でありながら少《すこ》し鋭《するど》い嘴《くちばし》を持《も》つたばかりに、果敢《はか》ない雀《すゞめ》や頬白《ほゝじろ》の前《まへ》にのみ威力《ゐりよく》を逞
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