き》藏《しま》ふことを勘次《かんじ》に促《うなが》されてもおつたの手前《てまへ》を憚《はゞか》つた樣《やう》にして其《そ》の儘《まゝ》にして置《お》いた牛肉《ぎうにく》の鑵詰《くわんづめ》の一つをおつたは卯平《うへい》へやつた。卯平《うへい》は窪《くぼ》んだ目《め》を蹙《しか》めるやうにした。勘次《かんじ》は放心《うつかり》した自分《じぶん》の懷《ふところ》の物《もの》を奪《うば》はれた程《ほど》の驚愕《きやうがく》と不快《ふくわい》との目《め》を以《もつ》て卯平《うへい》とおつたとを見《み》た。おつたは重相《おもさう》な風呂敷包《ふろしきづゝみ》をうんと脊負《しよ》つて胸《むね》の結《むす》び目《め》へ兩手《りやうて》を掛《か》けて包《つゝみ》の据《すわ》りを好《よ》くする爲《ため》に二三|度《ど》搖《ゆす》つた。
「そんぢや明日《あした》またお目《め》にかゝりあんせう」おつたは一|同《どう》へ挨拶《あいさつ》して
「此《こ》りやよかつた、本當《ほんたう》にまあ」聞《きこ》えよがしに獨語《どくご》しながらおつたは庭《には》から垣根《かきね》を出《で》た。勘次《かんじ》は自分《じぶん》
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