《たくま》しくする鵙《もず》が小《ちひ》さな勝利者《しようりしや》の聲《こゑ》を放《はな》つてきい/\と際《きは》どく何處《どこ》かの木《き》の天邊《てつぺん》で鳴《な》いて居《ゐ》た。
 其《そ》の夜《よ》勘次《かんじ》の家《いへ》には突然《とつぜん》一|同《どう》を驚愕《きやうがく》せしめた事件《じけん》が起《おこ》つた。それは事《こと》もなく濟《す》んでさうして餘《あま》りに滑稽《こつけい》な分子《ぶんし》を交《まじ》へて居《ゐ》た。與吉《よきち》は其《そ》の日《ひ》の夕方《ゆふがた》、紙《かみ》へ包《つゝ》んだ食鹽《しよくえん》を一《ひと》つ盜《ぬす》んだ。彼《かれ》は從來《じうらい》見《み》たことのない綺麗《きれい》な菓子《くわし》を發見《はつけん》したと思《おも》つて心《こゝろ》が躍《をど》つた。それでも彼《かれ》は其《そ》の半分《はんぶん》を割《わ》つていきなり嚥《の》み下《くだ》した。彼《かれ》は喉《のど》がぢり/\と焦《こ》げつく程《ほど》非常《ひじやう》な苦惱《くなう》を感《かん》じた。勘次《かんじ》もおつぎも只《たゞ》慌《あわ》てた。勘次《かんじ》は其《そ》の原因
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