凝《こゞ》つて狹《せめ》えつたつて窮屈《きうくつ》だつてやつと居《ゐ》る丈《だけ》なんだから、天井《てんじやう》へは頭《あたま》打《ぶ》つゝかり相《さう》で生命《いのち》でも何《なん》でも蹙《ちゞ》めらつる樣《やう》なおもひでさ、そんでもまあ到頭《たうとう》遁《に》げもしねえで居《ゐ》らつたんだから、家《うち》でも持《も》つてかれたものからぢや運《うん》がえゝのせえ、まあ晝間《ひるま》はなんちつても方々《はう/″\》見《め》えてえゝが、夜《よる》がなんぼにも小凄《こすご》くつてねえ」おつたは自分《じぶん》の怖《おそ》ろしかつた經驗《けいけん》を聞《き》いてくれるのを悦《よろこ》ぶやうに語《かた》り續《つゞ》けるのであつた。
「そんでまあ、それもえゝが蛙《けえる》だの蛇《へび》だのが來《き》てね、蛙《けえる》はなんだが蛇《へび》がなんぼにも厭《いや》ではあ、棒《ぼう》で引《ひ》つ掛《か》けて遠《とほ》くの方《はう》へ打《ぶ》ん投《な》げて見《み》ても、執念深《しふねんぶけ》えつちのか又《また》ぞよ/\泳《およ》いで來《き》て、それも夜《よる》がねえ萬一《もしも》のことが有《あ》つちやと思
前へ 次へ
全956ページ中665ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
長塚 節 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング