次《かんじ》を外《ほか》へ遣《や》るのが厭《いや》なのでさうはいはずに時々《とき/″\》おつぎに足《あし》をさすらせた。さうすると勘次《かんじ》は
「どうした幾《いく》らか惡《わる》いのか」と自分《じぶん》も一|心《しん》に蒲團《ふとん》の裾《すそ》へ手《て》を掛《か》ける。勘次《かんじ》は庭《には》から外《そと》へは出《で》られなかつた。
それでも冬至《とうじ》が明日《あす》と迫《せま》つた日《ひ》に勘次《かんじ》は蒟蒻《こんにやく》を持《も》つて出《で》た。お品《しな》もそれは止《と》めなかつた。もう幾人《いくにん》か歩《ある》いた後《あと》なので、思《おも》ふやうには捌《は》けなかつたがそれでも勘次《かんじ》はお品《しな》にひかされて、まだ殘《のこ》つて居《ゐ》る蒟蒻《こんにやく》を擔《かつ》いで歸《かへ》つて來《き》て畢《しま》つた。
「蒟蒻《こんにやく》はお品《しな》がもんだから、錢《ぜに》はみんなおめえげ遣《や》つて置《お》くべ」勘次《かんじ》は銅貨《どうくわ》をぢやら/\とお品《しな》の枕元《まくらもと》へ明《あ》けた。お品《しな》は銅貨《どうくわ》を一つ/\勘定《かん
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