よろこ》んだ。彼《かれ》が大豆《だいづ》を引《ひ》いて庭《には》に運《はこ》んだ頃《ころ》はまだ暑《あつ》い日《ひ》が落付《おちつ》いて毬《いが》の割《わ》れ始《はじ》めた栗《くり》の木《き》の梢《こずゑ》から庭《には》をぢり/\と照《てら》して居《ゐ》た。根《ね》が幾日《いくにち》もぐつしりと水《みづ》に浸《ひた》つてた大豆《だいづ》は黄色味《きいろみ》の勝《か》つた褐色《ちやいろ》の莢《さや》も幹《から》も泥《どろ》で汚《よご》れた樣《やう》に黒《くろ》ずんで居《ゐ》た。
 大豆《だいづ》を引《ひ》いたのはそれでも稀《まれ》な晴天《せいてん》であつたので「いひ返《がへ》し」に來《く》る筈《はず》に成《な》つて居《ゐ》た南《みなみ》の女房《にようばう》を頼《たの》んだ。彼等《かれら》は相互《さうご》の便宜上《べんぎじやう》手間《てま》の交換《かうくわん》をするのであるが、彼等《かれら》はそれを「いひどり」というて居《ゐ》る。それで其《そ》の借《か》りた手間《てま》を返《かへ》すのがいひがへしである。大豆《だいづ》は庭《には》に運《はこ》ぶと共《とも》に一攫《ひとつか》みにしては根《ね
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