ち》に突《つ》き透《とほ》した。垂《た》れた鳳仙花《ほうせんくわ》の枝《えだ》は竹《たけ》の杖《つゑ》に縛《しば》りつけようとして手《て》を觸《ふ》れたらぽろりと莖《くき》から離《はな》れて畢《しま》つた。卯平《うへい》は忌々敷相《いまいましさう》に打棄《うつちや》つた。卯平《うへい》がのつそりと大《おほ》きな躯幹《からだ》を立《た》てた傍《そば》に向日葵《ひまはり》は悉《ことごと》く日《ひ》に背《そむ》いて昂然《かうぜん》として立《た》つて居《ゐ》る。向日葵《ひまはり》は蕾《つぼみ》が非常《ひじやう》に膨《ふく》れて黄色《きいろ》に成《な》つてから卯平《うへい》が植《う》ゑたのであつた。其《そ》の時《とき》はもう蕾《つぼみ》はどうしても日《ひ》のいふこと聽《き》いて動《うが》かないので、暑《あつ》いさうして乾燥《かんさう》の烈《はげ》しい日《ひ》がそれを憎《にく》んで硬《こは》い下葉《したば》をがさ/\に枯《か》らした。それでも強《つよ》い莖《くき》はすつと立《た》つて、大抵《たいてい》はがつかりと暑《あつ》さに打《う》たれて居《ゐ》る草木《さうもく》の間《あひだ》に誇《ほこ》つたや
前へ 次へ
全956ページ中652ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
長塚 節 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング