い》て目《め》を閉《と》ぢた。
冬至《とうじ》はもう間《あひだ》が二日しか無《な》くなつた。朝《あさ》の内《うち》に勘次《かんじ》は蒟蒻《こんにやく》の葢《ふた》をとつて見《み》て
「どうしたもんだかな、俺《おれ》でも擔《かつ》いて歩《ある》つてんべかな、恁《かう》して置《お》いたんぢや仕《し》やうねえかんな」お品《しな》へ相談《さうだん》して見《み》た。
「さうよな、それよりか俺《お》らどつちかつちつたら大根《だいこ》でも漬《つけ》て貰《もれ》へてえな、毎日《まいんち》栗《くり》の木《き》見《み》て居《ゐ》て干過《ほしす》ぎやしめえかと思《おも》つて心配《しんぺえ》してんだからよ」お品《しな》は訴《うつた》へるやうにいつてさうして更《さら》に
「自分《じぶん》で丈夫《ぢやうぶ》でせえありや疾《とつ》くにやつちまつたんだが」と小聲《こごゑ》でいつた。お品《しな》はどうも勘次《かんじ》を出《だ》すのが厭《いや》であつた。然《しか》し何《なん》だかさう明白地《あからさま》にもいはれないので恁《か》ういつたのであつた。
「勘次《かんじ》さん鹽《しほ》見《み》てくんねえか、俺《お》ら大丈夫《
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