》ふのである。彼《かれ》は又《また》暫《しばら》くして大戸《おほど》をがらりと勢《いきほ》ひよく開《あ》けて出《で》ては又《また》少《すこ》し隙間《すき》を残《のこ》して大戸《おほど》を引《ひ》いて丁度《ちやうど》内《うち》へ還《かへ》つたと見《み》せて、殆《ほと》んど壁《かべ》に接《せつ》した卯平《うへい》の戸口《とぐち》に近《ちか》く立《た》つて見《み》るのである。手《て》ランプも點《つ》けぬ卯平《うへい》の狹《せま》い小屋《こや》の空氣《くうき》は黒《くろ》く悄然《ひつそり》として死《し》んだ樣《やう》である。勘次《かんじ》は拔《ぬ》き足《あし》して戻《もど》つては出來《でき》るだけ靜《しづか》に戸《と》を閉《と》ぢる。非常《ひじやう》に不平《ふへい》な相形《さうぎやう》をして居《ゐ》ても勘次《かんじ》はおつぎが歸《かへ》ると直《すぐ》に機嫌《きげん》が直《なほ》つて
「汝《わ》りやそんなに夜更《よふか》しするもんぢやねえ」と勦《いた》はるやうな窘《たしな》めるやうな調子《てうし》ていつて見《み》るのである。さうすると、
「明日《あした》の障《さは》りにでも成《な》りやしめえし管
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