あま》えた樣《やう》な聲《こゑ》や與吉《よきち》の無遠慮《ぶゑんりよ》な無邪氣《むじやき》な聲《こゑ》を聞《き》くと一|方《ぱう》には又《また》彼等《かれら》の家族《かぞく》と一つに成《な》りたいやうな心持《こゝろもち》も起《おこ》るし、彼《かれ》は凝然《ぢつ》と眼《め》を閉《と》ぢて居《ゐ》るので頭《あたま》の中《なか》が餘計《よけい》に紛糾《こぐら》かつて、種々《いろ/\》な状態《じやうたい》が明瞭《はつきり》と目先《めさき》にちらついてしみ/″\と悲《かな》しい樣《やう》に成《な》つて見《み》たりして猶更《なほさら》に僂麻質斯《レウマチス》の疼痛《いたみ》がぢり/\と自分《じぶん》の身體《からだ》を引緊《ひきし》めて畢《しま》ふ樣《やう》にも感《かん》ぜられた。彼《かれ》はさういふ時《とき》おつぎでも與吉《よきち》でも
「爺《ぢい》よう」と喚《よ》んでくれゝばふいと懶《ものう》い首《くび》を擡《もた》げて明《あか》るい白晝《はくちう》の光《ひかり》を見《み》ることによつて何《なん》とも知《し》れぬ嬉《うれ》しさに涙《なみだ》が一|杯《ぱい》に漲《みなぎ》ることもあるのであつた。

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