《しが》める樣《やう》にして、洗《あら》ひもせぬ殼《から》の兩端《りやうはし》に小《ちひ》さな穴《あな》を穿《うが》つて啜《すゝ》るのであつた。彼《かれ》はおつぎの意中《いちう》を能《よ》く解《かい》して居《ゐ》るので其《そ》の吸殼《すひがら》は決《けつ》して目《め》につく處《ところ》へは棄《す》てないで細《こま》かに押《お》し揉《も》んで外《そと》へ出《で》る序《ついで》に他人《たにん》の垣根《かきね》の中《なか》などへ放棄《ほう》つた。それからも一つ僻《ひが》まうとする彼《かれ》の心《こゝろ》を爽《さわや》かにするのは與吉《よきち》であつた。疾《とう》から甘《あま》え切《き》つて居《ゐ》る與吉《よきち》は卯平《うへい》の戸口《とぐち》に立《た》ち塞《ふさ》がつては錢《ぜに》を請《こ》うた。狹《せま》い戸口《とぐち》は與吉《よきち》の小《ちひ》さな身體《からだ》でさへ卯平《うへい》の藁《わら》をいぢつて居《ゐ》る手《て》もとを薄闇《うすぐら》くした。卯平《うへい》は藁屑《わらくづ》と一つに投出《なげだ》してある胴亂《どうらん》から五|厘《りん》の銅貨《どうくわ》を出《だ》してやるのが
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