を動《うご》かす樣《やう》でありながら、それでも傭《やと》はれた先《さき》で其《そ》の日《ひ》の扶持《ふち》はして貰《もら》ふので、相應《さうおう》な錢《ぜに》を獲《え》つゝあるのであつた。
卯平《うへい》は夏《なつ》になれば何處《どこ》でも忙《いそが》しい麥扱《むぎこき》や陸稻《をかぼ》の草取《くさとり》に傭《やと》はれた。彼《かれ》は自分《じぶん》の村落《むら》を離《はな》れて五|日《か》も六|日《か》も泊《とま》つて居《ゐ》て歸《かへ》らぬことがある。卯平《うへい》には先《さき》から先《さき》と歩《ある》いて居《ゐ》ることが却《かへつ》て幸《さいは》ひであつた。彼《かれ》は鬼怒川《きぬがは》の高瀬船《たかせぶね》の船頭《せんどう》の衣物《きもの》かと思《おも》ふ樣《やう》な能《よ》くも/\繼《つ》ぎだらけな、それも自分《じぶん》の手《て》で膳《つくろ》つて清潔《きれい》に洗《あら》ひ曝《ざら》した仕事衣《しごとぎ》を裾長《すそなが》に着《き》て、手拭《てぬぐひ》を被《かぶ》つて暑《あつ》い庭《には》に小麥《こむぎ》を叩《たゝ》いて居《ゐ》るのを其處《そこ》此處《ここ》に見《み》
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