ひかり》がまた軟《やはら》かなさうして稍《やゝ》深《ふか》い草《くさ》の上《うへ》にぽつり/\と明《あか》るく覗《のぞ》き込《こん》で、松《まつ》の木《き》からはみんみん蝉《ぜみ》の樣《やう》な松蝉《まつぜみ》の聲《こゑ》が擽《くすぐ》つたい程《ほど》人《ひと》の鼓膜《こまく》に輕《かる》く響《ひゞ》いて凡《すべ》ての心《こゝろ》を衝動《しようどう》する。卯平《うへい》も他《た》の百姓《ひやくしやう》に誘《さそ》はれたやうに只《たゞ》其《その》身《み》を凝然《ぢつ》とさせてのみは居《を》られなかつた。他人《ひと》に倍《ばい》して忙《せは》しい勘次《かんじ》がだん/\に減《へ》りつゝある俵《たわら》の内容《ないよう》を苦《く》にして酷《ひど》い目《め》をしつゝ戸口《とぐち》を出入《でいり》するのを卯平《うへい》は見《み》るのが厭《いや》で且《かつ》辛《つら》かつた。それで彼《かれ》は其處《そこ》ら此處《ここ》らと他人《たにん》の仕事《しごと》を求《もと》めて歩《ある》いたのであつた。
 卯平《うへい》は見《み》るから不器用《ぶきよう》な容子《ようす》をして居《ゐ》て、恐《おそ》ろしく手先
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