》の粉《こ》を繼《つな》ぎにして打《う》つた。彼《かれ》は又《また》おつぎへ注意《ちうい》をして能《よ》くは茹《う》でさせなかつた。手桶《てをけ》の冷《つめ》たい水《みづ》で曝《さら》した蕎麥《そば》は杉箸《すぎはし》のやうに太《ふと》いのに、黄蜀葵《ねり》の特色《とくしよく》の硬《こは》さと滑《なめ》らかさとで椀《わん》から跳《をど》り出《だ》し相《さう》に成《な》るのであつた。黄蜀葵《ねり》は能《よ》く畑《はたけ》の周圍《まはり》に作《つく》られて短《みじか》い莖《くき》には暑《あつ》い日《ひ》に大《おほ》きな黄色《きいろ》い花《はな》を開《ひら》く。其《そ》の根《ね》を乾燥《かんさう》して粉《こ》にして入《い》れゝば蕎麥《そば》の分量《かさ》が滅切《めつきり》殖《ふ》えるといふので、滿腹《まんぷく》する程度《ていど》に於《おい》ては只管《ひたすら》食料《しよくれう》の少量《せうりやう》なることのみを望《のぞ》んで居《ゐ》る勘次《かんじ》は毎年《まいねん》作《つく》つて屹度《きつと》それを用《もち》ひつゝあつた。
 卯平《うへい》の齒齦《はぐき》には蕎麥《そば》が辷《すべ》つて噛《
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