特色《とくしよく》を現《あらは》して切口《きりくち》から忽《たちま》ちに罅割《ひゞわ》れになつて堅《かた》く乾燥《かんそう》した。だん/\燒《や》いて膨《ふく》れても外側《そとがは》は齒齦《はぐき》を痛《いた》める程《ほど》硬《こは》ばつて來《き》た。卯平《うへい》は其《そ》の一つさへ滿足《まんぞく》に嚥《の》み下《くだ》さうとするには寧《むし》ろ粗剛《こは》いぼろ/\な飯《めし》よりも容易《ようい》でなかつた。さうなつてからは勘次《かんじ》は竭《つ》きるまで能《よ》く燒《や》いた。卯平《うへい》はむつゝりとして額《ひたひ》に深《ふか》く刻《きざ》んだ大《おほ》きな皺《しわ》を六《むづ》ヶ|敷相《しさう》に動《うご》かしては堅《かた》い餅《もち》を舐《しやぶ》つた。卯平《うへい》の膳《ぜん》には冷《つめ》たく成《な》つた餅《もち》が屹度《きつと》残《のこ》された。腹《はら》を減《へ》らして學校《がくかう》から歸《かへ》つて來《く》る與吉《よきち》が何時《いつ》でもそれを噛《かじ》るのであつた。
 勘次《かんじ》は又《また》蕎麥《そば》を打《う》つたことがあつた。彼《かれ》は黄蜀葵《ねり
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