た。勘次《かんじ》は三ヶ|日《にち》さへ全然《まる/\》安佚《あんいつ》を貪《むさぼ》つては居《ゐ》なかつた。彼《かれ》は唐鍬《たうぐは》を擔《かつ》いで必《かなら》ず開墾地《かいこんち》へ出《で》たのである。彼《かれ》は次第《しだい》に懷《ふところ》の工合《ぐあひ》が善《よ》く成《な》り掛《か》けたので、今《いま》では其《そ》の勢《いきほ》ひづいた唐鍬《たうぐは》の一|打《うち》は一|打《うち》と自分《じぶん》の蓄《たくは》へを積《つ》んで行《ゆ》く理由《わけ》なので、彼《かれ》は餘念《よねん》もなく極《きは》めて愉快《ゆくわい》に仕事《しごと》に從《したが》つて居《ゐ》るやうに成《な》つたのである。歳《とし》の首《はじめ》といふので有繋《さすが》に彼《かれ》の家《いへ》でも相當《さうたう》に餅《もち》や饂飩《うどん》や蕎麥《そば》が其《そ》の日《ひ》/\の例《れい》に依《よつ》て供《そな》へられた。軟《やはら》かな餅《もち》が卯平《うへい》の齒齦《はぐき》には一|番《ばん》適當《てきたう》して居《ゐ》た。殊《こと》に陸稻《をかぼ》の餅《もち》は足《あし》が弱《よわ》いので、少《すこ
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