彼等《かれら》の家《いへ》の門松《かどまつ》は只《たゞ》短《みじか》い松《まつ》の枝《えだ》と竹《たけ》の枝《えだ》とを小《ちひ》さな杙《くひ》に縛《しば》り付《つ》けて垣根《かきね》の入口《いりくち》に立《た》てたのみである。神棚《かみだな》へは藁《わら》で太《ふと》く綯《な》つた蝦《えび》の形《かたち》を横《よこ》に飾《かざ》つて其處《そこ》にも松《まつ》の短《みじか》い枝《えだ》をつけた。藁《わら》の蝦《えび》は卯平《うへい》が造《つく》つた。彼《かれ》はむつゝりとしながらも軟《やはら》かに藁《わら》を打《う》つて熱心《ねつしん》に手《て》を動《うご》かした。それで歳男《としをとこ》の役《やく》で飾《かざり》は勘次《かんじ》にさせた。煤《すゝ》け切《き》つた棚《たな》に新《あたら》しい藁《わら》の蝦《えび》が活々《いき/\》として見《み》えた。
三ヶ|日《にち》は與吉《よきち》も穢《きたな》い衣物《きもの》を棄《す》てゝ、おつぎも近所《きんじよ》で髮《かみ》を結《ゆ》うて炊事《すゐじ》の時《とき》でも餘所行《よそゆき》の半纏《はんてん》に襷《たすき》を掛《か》けて働《はたら》い
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