くろ》へ蕎麥粉《そばこ》を二|升《しやう》ばかり入《い》れて
「勘次《かんじ》も泣《な》きだから、それでも今《いま》に生計《くらし》もだん/\善《よ》くなんだらうから、さうすりや惡《わる》くばかりもすまいよ、どうも昔《むかし》から合性《あひしやう》が惡《わる》いんだからね、まあ年齡《とし》とつたら仕方《しかた》がないから我慢《がまん》して居《ゐ》るんだよ、餘《あんま》り酷《ひど》けりや他人《ひと》が共々《とも/″\》見《み》ちや居《ゐ》ないから、それだが勘次《かんじ》も有繋《まさか》それ程《ほど》でもないんだらうしね」内儀《かみ》さんは慰《なぐさ》めていつた。卯平《うへい》は蕎麥粉《そばこ》を大事《だいじ》にして、勘次《かんじ》が開墾《かいこん》に出《で》た後《あと》で藥罐《やくわん》の湯《ゆ》を沸《わか》しては蕎麥掻《そばがき》を拵《こしら》へてたべた。其《そ》の頃《ころ》は彼《かれ》の提《さ》げて來《き》た二|罎《びん》の醤油《しやうゆ》はもう無《な》くなつて居《ゐ》た。彼《かれ》は其《そ》の減《へ》つて行《ゆ》くのを更《さら》に惜《おし》いとは思《おも》はなかつたが、然《しか》し
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